記事の著者
マーケティングチーム
2025.11.07 UP
理想のマイホームを手に入れるのに参考となる「坪単価」ですが、具体的にどのように活用するのか知らないという方も多いでしょう。実は複数の建築会社を比較するほかに、設備や仕様に優先順位をつける、不要なものを外すといったように、予算オーバーを回避する際などにも役立ちます。
本記事では、注文住宅を探す際の坪単価の活用の仕方や算出方法などを解説するほか、構造別や都道府県別の平均坪単価も紹介します。また、坪単価で比較する際の注意点やポイントも解説しますので、理想のマイホームづくりにぜひお役立てください。
ハウスジャパンは、1983年創業以来、地域に根ざした家づくりを通じて、お客様の「本当の思い」を丁寧に引き出し、心から豊かな暮らしを形にするパートナーです。
多彩なデザインラインナップを持ち、それぞれの家族のライフスタイルに寄り添った提案を。
気候風土を熟知した地元密着体制と確かな技術で、住まいの安心・快適を長く支えるアフター対応も万全。
あなたと地域の未来をつなぐ、一生の住まいづくりをサポートします。

「坪単価」とは、延床面積1坪(約3.3m2)あたりの建築費用を算出したものです。建築業界で広く使われる単位で、住宅の建築費用を比較する際などに役立ちます。
坪単価を算出する際は、建物全体にかかる建築コストを延床面積で割ることで求められます。具体的には以下の計算式が用いられます。
坪単価 = 建物の建築コスト ÷ 延床面積(各階の床面積の合計)
例えば、建物の建築コストが3,000万円で、延床面積が40坪だった場合、坪単価は75万円となります。
ちなみに「坪」とは、「尺貫法」と呼ばれる日本古来の計量方法で使用する単位です。商取引においては1959(昭和34)年から禁止されていますが、日本人になじみが深いということで、今でも土地や建物の表記に用いられています。平方メートルに直すと、1坪は約3.306m2です。ただし、計算する際は分かりやすいように、3.3m2として用いられることが多いようです。
坪単価を把握する大きなメリットは、1つの基準ができることです。予算を確保したり、資金計画を立てたり、施工方法や設計による価格差を理解したりする際などにも役立ちます。また、予算に合わせて優先順位を決める際などにも参考になります。想定よりも建築コストがかかる場合、坪単価を下げることでコストの見直しをすることもできます。
具体的には、以下のような坪単価の活用方法があります。
・間取りを見直す:部屋数が多いほど坪単価が増えがちなので、見直すことで坪単価を下げることができます。
・住宅設備機器や仕様のグレードを見直す:キッチンやバスルームなどの住宅設備機器のほか、床材や壁紙などの仕上げ材のグレードを下げることで、間取りを変更することなく坪単価及び建築総費用を下げることができます。
・工法の工夫:建築コストを見直す際に、基礎・構造の種別や工法の工夫、工事期間や工期時期の見直しなどを行う際に活用できます。
また坪単価は、複数の住宅あるいは建築会社を比較する際の目安になります。住宅のコストパフォーマンスが把握できるため、他社との比較がしやすくなるでしょう。適正価格や相場を把握するのにも役立ちます。
坪単価を算出する際に、どの費用を含めるかといった基準が実はありません。ただし、含まれる費用と含まれない費用はおおむね以下のように分類できます。
| 坪単価を算出する際に含まれる費用 | 基礎工事、躯体工事、屋根・外装工事、内装工事 |
| 坪単価を算出する際に含まれない費用 | 土地代、地盤改良工事、登記費用などの諸経費 など |
| 含まれるか含まれないか建築会社により異なる費用 | 外構工事、照明器具、カーテン、エアコン工事、アンテナ工事、屋外給排水工事 など |
同じ条件で坪単価を算出したとしても、デザインに用いる建築資材や住宅設備機器のグレード、さらには地域などにより坪単価は異なることもあります。
注文住宅を検討する際に目安となるように、新築住宅の平均的な坪単価を紹介します。条件によって異なるため、「構造別」「都道府県別」「注文住宅と建売住宅」の3つに分類して坪単価を紹介します。
住宅を建築する際に、「木造」や「鉄骨造」など躯体の構造を選択できますが、坪単価はそれらの構造によって異なります。
下記の表は、国土交通省の資料「建築着工統計調査」の「住宅着工統計」から、全国の「一戸建て(持ち家)」における構造別の平均坪単価(2024年4月~12月)をまとめたものです。
| 構造 | 坪単価 |
| 木造 | 82.5万円 |
| 鉄骨造 | 115.5万円 |
| 鉄筋コンクリート造 | 125.4万円 |
| その他 | 102.3万円 |
参照:国土交通省の資料「建築着工統計調査」の「住宅着工統計」
※1m2×3.3で計算
下記の表は、国土交通省の資料「建築着工統計調査」の「住宅着工統計」から、愛知県の「一戸建て(持ち家)」における構造別の平均坪単価(2024年4月〜12月)をまとめたものです。
| 構造 | 坪単価 |
| 木造 | 82.5万円 |
| 鉄骨造 | 115.5万円 |
| 鉄筋コンクリート造 | 148.5万円 |
建築コストには、材料費や人件費、運搬費なども含まれます。また、経済状況や交通アクセス、周辺のインフラや施設の充実度などが異なるため、地域による差が生まれるのも通常です。
以下の表は、国土交通省の資料「建築着工統計調査」の「住宅着工統計」から、「木造一戸建て(持ち家)」における都道府県別の平均坪単価(2024年4月~12月)をまとめたものです。
| 都道府県 | 坪単価 | 都道府県 | 坪単価 | 都道府県 | 坪単価 |
| 北海道 | 85.8万円 | 石川県 | 82.5万円 | 岡山県 | 85.8万円 |
| 青森県 | 75.9万円 | 福井県 | 79.2万円 | 広島県 | 79.2万円 |
| 岩手県 | 82.5万円 | 山梨県 | 85.8万円 | 山口県 | 85.8万円 |
| 宮城県 | 79.2万円 | 長野県 | 92.4万円 | 徳島県 | 79.2万円 |
| 秋田県 | 75.9万円 | 岐阜県 | 82.5万円 | 香川県 | 82.5万円 |
| 山形県 | 82.5万円 | 静岡県 | 82.5万円 | 愛媛県 | 79.2万円 |
| 福島県 | 82.5万円 | 愛知県 | 82.5万円 | 高知県 | 85.8万円 |
| 茨城県 | 79.2万円 | 三重県 | 85.8万円 | 福岡県 | 79.2万円 |
| 栃木県 | 82.5万円 | 滋賀県 | 72.6万円 | 佐賀県 | 79.2万円 |
| 群馬県 | 79.2万円 | 京都府 | 79.2万円 | 長崎県 | 79.2万円 |
| 埼玉県 | 75.9万円 | 大阪府 | 72.6万円 | 熊本県 | 79.2万円 |
| 千葉県 | 82.5万円 | 兵庫県 | 79.2万円 | 大分県 | 79.2万円 |
| 東京都 | 92.4万円 | 奈良県 | 79.2万円 | 宮崎県 | 75.9万円 |
| 神奈川県 | 85.8万円 | 和歌山県 | 72.6万円 | 鹿児島県 | 75.9万円 |
| 新潟県 | 82.5万円 | 鳥取県 | 85.8万円 | 沖縄県 | 89.1万円 |
| 富山県 | 85.8万円 | 島根県 | 85.8万円 |
参照:国土交通省の資料「建築着工統計調査」の「住宅着工統計」
※1m2×3.3で計算
坪単価がもっとも高いのは東京都と長野県の92.4万円で、最も低いのは滋賀県、大阪府、和歌山県の72.6万円です。
以下の表は、「2024年度フラット35利用者調査」から、首都圏、近畿圏、東海圏、その他地域についての主要指標から、注文住宅の平均坪単価を割り出してまとめたものです。
| 地区 | 注文住宅 |
| 全国 | 109.5万円 |
| 首都圏 | 119.3万円 |
| 近畿圏 | 111.4万円 |
| 東海圏 | 108.9万円 |
| その他地域 | 104.7万円 |
参照:住宅金融支援機構「2024年度フラット35利用者調査」
注文住宅の坪単価を三大都市圏で比較すると、もっとも高いのが首都圏で、もっとも低いのが東海圏となります。
注文住宅を提供する企業には、主にハウスメーカーと工務店があります。具体的にどのように違うのか、特徴や坪単価、サービス内容などで比較して紹介します。
ハウスメーカーと工務店の具体的な違いは事業規模など様々ありますが、大きな違いは営業エリアです。大手のハウスメーカーは全国展開していますが、工務店は地元密着型で営業エリアが限られています。そのため工務店は、湿気が多い、風が強い、海が近いといった地域特性に対応できる家づくりをしているのが通常です。ただし地場のハウスメーカーもあり、工務店と同じく地域に密着した営業活動を行っているケースもあります。
また、営業活動の内容もハウスメーカーと工務店では異なります。ハウスメーカーは幅広い層の認知度を高めるためテレビCMや新聞広告などを用いますが、工務店は地域を限定した新聞広告や自社ホームページなどで営業活動を行っているケースが多くを占めます。
坪単価は、工務店よりもハウスメーカーの方が高い傾向があります。目安は、ハウスメーカーが100万円以上、工務店は100万円以下です。
ハウスメーカーの坪単価が高いのは、CMなどを積極的に行っていること、モデルハウスを数多く展開していること、従業員数が多く人件費がかかることなどが要因と考えられます。ただし、扱う商品ブランドや方針により、得意分野が「ローコスト」「ミドルコスト」「ハイグレード」などに分かれることもあります。そのため「ローコスト」を得意とするハウスメーカーの場合は、価格帯も坪単価も低く抑えられています。
ハウスメーカーは教育体制が整えられており、社員の接客レベルは高い水準にあると考えられます。また保証については、注文住宅の場合は10年間の「瑕疵(かし)担保責任保証」がつきますが、これに加えて期間を長く設定したり、保証の品目を増やしたりするなど独自の保証が設けられていることもあります。
一方、工務店の場合、ついている保証は「瑕疵担保責任保証」だけのケースもあります。ただし、工務店によってはアフターフォローの体制が整っている会社もあります。また、地元密着型の営業をしているため、トラブルが発生した際にはすぐに駆けつけて対応してくれる、同じ担当者が対応してくれる、など工務店ならではの対応も魅力です。

坪単価を知ることで複数の建築会社を比較する際に役立ちますが、注意する点もあります。ここでは代表的な3つの注意点について紹介します。
前述したように、坪単価を算出する際の基準は定められていません。そのため建築会社によって、建築コストに含める項目が異なります。
例えば、照明器具やカーテンなどを含めて算出しているA社の坪単価が120万円、それらを含めずに算出しているB社の坪単価が100万円といったケースもあります。この場合、坪単価で比較しても、どちらがコストパフォーマンスに優れているか厳密には判断できないのです。
特に注意したいのが、公式ホームページや新聞広告などに表示されている坪単価だけを比較することです。何を含めて算出しているか不明な状態で、単純に比較しないようにしましょう。
次に注意したいのが、デザイン・住宅設備機器のグレードなどによって坪単価が変わることです。例えば、システムキッチンやユニットバスなどの機能性が高い、石材・木材などの自然な素材を取り入れたいといった場合、坪単価は高くなるのが通常です。複数の建築会社を比較する際は、住宅設備機器や仕上げ材などの機能性も確認するようにしましょう。
また、建売住宅を坪単価で比較するときも注意が必要です。建売住宅の場合は土地価格も販売価格に含まれ、坪単価の算出が難しくなります。また、地域ならではの特性や住みやすさ、駅からの距離、生活利便施設の充実度などが坪単価に反映されます。単純に坪単価だけで比較せずに、土地の条件や周辺環境など家族の生活にとって必要な条件を加味して検討しましょう。
坪単価は、建物本体の建築費用をもとに算出されます。そのため、外構費用や解体費用、諸経費などは含まれないのが通常です。つまり総額ではないため、坪単価だけで業者やプランを決めると、最終的に予算オーバーになる可能性もあります。
例えば、坪単価が安いA社を選んだが、外構費用や照明・アンテナ設置、カーテンなどを含めて総額を計算すると、B社のほうが安かったということもあります。この点も注意が必要です。
複数の建築会社を比較する際に坪単価を用いるのは便利ですが、坪単価だけでは住宅の本来の価値を見失うこともあります。例えば、省エネ性などの機能性が高い住宅の場合は、総建築費が高く、坪単価も高い傾向があります。断熱材の質や厚みで性能を高めていたり、断熱性の高い窓を採用したりしており、坪単価が高くなっているからです。
このような住宅の場合、建築コストよりも建築後のランニングコスト、つまりライフサイクルコストが低く抑えられるというメリットがあります。そのため、家計にやさしい住宅を見極めるには、長期的な視点に立つことも重要だということを覚えておきましょう。
もちろん最終的に比較する際は、メンテナンスのしやすさやアフターサービスなども比較検討しましょう。

坪単価で比較する際の注意点を踏まえた上で、正しく坪単価で比較する際のポイントについて、以下の4つを紹介します。
坪単価を算出する際には、延床面積と施工面積のどちらをベースにするかによっても坪単価が異なります。それぞれ面積を表すものですが、定義が異なるからです。
まず延床面積とは、建物内のすべての階の床面積を合わせた面積です。2階建て住宅の場合は、1階部分と2階部分の面積を足した数が延床面積となります。一部例外はありますが、吹き抜けのほか、一定の条件をみたした地下室やロフト、ベランダといったような部分は含まれません。
また施工面積は、施工するすべての部分を含めた面積を表す数値です。例えば、ベランダやバルコニー、吹き抜け、ロフト、小屋根収納、ビルトインガレージなどを設置する場合はこれらの面積が含まれます。
つまり、延床面積よりも施工面積のほうが広くなるのが通常で、坪単価を計算する上では施工面積を用いたほうが低くなります。建築会社によっては、坪単価を低く見せたいなどの理由から施工面積を用いて坪単価を算出している例もあるので、正しく見極めるようにしましょう。
前述したように、坪単価を算出する際にどの範囲の工事を含めるかという明確な決まりはありません。単純に坪単価だけを比較しても正確な比較はできないため、坪単価で比較する際はどのような工事が含まれているか確認しましょう。
特に注意したいのがカーテンや照明、エアコン工事、アンテナ工事など、建築会社によって取り扱いが異なる項目です。また、建築会社によっては、設計料や建築プラン料、インテリアコーディネート料などが別途加算されることもありますので、確認を忘れないようにしましょう。
住宅を建てる際には、坪単価に関わる本体価格以外にもかかる費用があります。具体的には、以下のような付帯工事費や初費用がかかります。
・解体工事費用
・外構工事費用
・基礎工事費用
・整地費用・土地改良費用・造成工事(擁壁工事)
・登記費用
・住宅ローン手数料
・火災・地震保険料
・印紙代
・引っ越し費用 など
坪単価が安くても、総額にすると予算オーバーになるということも少なくありません。そのため、本体価格のほかにどのような費用がかかるのか正しく把握するようにしましょう。
最終的に住宅を比較するには、オプションを含めた総額で行いましょう。例えば、A社の坪単価が100万円、B社の坪単価が120万円の場合、坪単価ではA社のほうを第一の選択肢にしがちです。
しかし、利用したいオプションの数と費用はA社のほうが高いということも考えられます。その場合、予算をオーバーしてしまい、理想の家づくりにならない可能性もあります。
そのため、理想の暮らしを実現するのに必要と考えられるオプションの費用についても、しっかり把握してから総費用で比較するようにしましょう。
本記事では、坪単価に焦点を当てて詳しく解説しました。坪単価とは1坪あたりにかかる建築費用のことで、新築住宅のコストパフォーマンスが分かるため、複数の建築会社を比較したり、仕様や住宅設備機器などの優先順位をつけたりする際などに役立ちます。建築会社選びにも役立つので、ぜひ理解を深めておきましょう。
なお、ハウスジャパンでは、設計の規格化や標準仕様などで高品質かつコストパフォーマンスの高い建売住宅・注文住宅を提案しています。「坪単価を低く抑えたい」「建築コストを抑えたい」といったご要望があればお気軽にご相談ください。