2025.12.13.UP
わらびもちの本棚
こんにちは、ハウスジャパンのわらびもちです。
もう10年以上前に出会った本がとても好きで、最近また3回目を読み返しました。有川浩さんの『阪急電車』です。
舞台は、宝塚と西宮北口を結ぶ阪急今津線。
ほんの数駅の短い道のりの中で、たまたま同じ車両に乗り合わせた人達の小さな出来事が、すこしずつ重なっていきます。大げさなドラマはないのに、ページをめくるたび、心がふと柔らかくなるのを感じます。
登場する人達は皆、強いわけでもなく、前向きでもなく、私と同じ・・・完全でない人ばかり。それでも、自分の中のささやかな変化に気づいたり、知らない誰かの優しさに救われたり。。。
彼らの“ほんの一歩、いや半歩だけ前へ進む感じ”と、“わずかな心の揺らぎ”が、とても現実的なんです。現実的だからこそ、胸に響いて、静かな余韻が続きます。
疲れているとき、どこにも行き場のない気持ちを抱えているとき。
『阪急電車』は、何かを派手に変えてくれるわけではないけれど、“人生の機微”に触れることができる本です。
そういえば・・・・
あの時、遠い旅先で出会った老夫婦は今も元気だろうか。
あの時、偶然同じ列に並んで、これから新しい事業を始めるんだと意気込んでいた男性は、軌道に乗って仕事に励んでいるだろうか。
あの時、揺れるバスの中で席をゆずってくれた女子高生達はどんな女性になっただろうか。
これからもきっと、“人生の機微”に触れることがあるはず。
その偶然の時間を大切にしていこう。




