2024.11.25.UP
プレイバック Part2
こんにちは。
ディレクターチームの中尾です。
前回はヴィンテージスカジャンの補修内容でも縫製糸やリブに関して書きましたが、今回は服として重要な生地に関する補修内容について書いていこうと思います。
前回、載せた縫製糸の劣化と同様に50年以上経った生地も物によっては、傷みの激しいことがあります。
酷いものだとハンガーに吊るして置くと服の重みでビリビリと破れてしまうことなんかもあります。
完全に破れてしまったものは残念ながら補修することは出来ません。
スカジャンはラグランという仕様で作られており、両前身頃や背中、両袖と分かれていて服としては単純な構造をしています。
見れば分かると思いますが、スカジャンを構成する中で重要な部分は刺繍面で、特に大きな刺繡がされている背面が無事であればギリギリ何とかなる場合もあります。
③:生地のキズ
まずキズの補修方法ですが、小さな破れに関しては縫い合わせることで補修することが出来ます。
しかし縫い合わせるということは劣化している生地に針を通すことになるので、さらに生地を傷める行為にも繋がるため加減が難しいです。
④:生地のスレ
生地がスレてしまい薄くなっている場合や穴が空いている場合もあります。
そんな時は元の生地色に合わせて裏地を貼り付けることで生地の強度を上げたり、穴を埋めたりすることができます。
写真は穴が空いてしまった箇所に裏地を貼り付けて埋めていますが、見た目もそこまで悪くないように見えます。
しかし裏地で使用する生地の厚みによっては着心地に影響するので注意が必要です。
⑤:生地の汚れ
50年以上前の服なので使用頻度によっては当然、汚れています。
酷い場合だと匂いのキツいものもありますが、ヴィンテージ専門のクリーニング業者でも損傷が大きくなる恐れがあるので拒否されることも多々あります。
刺繡された面では不可能(※刺繍された面に施すとヴィンテージスカジャンである意味がないので)ですが汚れが激しい部分の生地を新しいものに変えたりします。
写真は袖部分の汚れやスレ、キズが酷い状態だったため生地を新しいものに変えました。
色合いや雰囲気を損なうことなく仕上げられる生地を選定することが出来ました。
前回も含めてヴィンテージスカジャンの補修に関して書かせていただきました。
次回は私が実際にしてきた補修内容を簡単に纏めながら書きたいと思います。
では、また次回の講釈で